irogattoのブログ

過去、現在(イマ)

電話に対する恐怖

一人暮らしをするようになってから電話に出るのがとても苦手になったような気がする。

とは言っても、ずっとではない。大丈夫な時期と、苦手な時期と、着信に対して恐怖を感じる時期とある。 

実家暮らしをしていた時は、家の電話が鳴ればすぐに出られた。自分から掛けることも何の問題も無かった。中3頃から携帯を持ち始め、そちらでも電話は普通にしていた。 

今ではまず知らない番号からかかってくると出られない。それは携帯でも家電でも。

 

先日、実家に帰っている間に家の電話が鳴った時、結構長くコール音が響いたが誰も出ないまま切れてしまった。書斎に居て手が離せなかった父がやってきて「何故出ないんだ!」とキレられたが、出られないんだと一言だけ返した。電話の音が鳴った瞬間に体が固まってしまうのだといちいち説明しても分かってもらえそうにないので。

その時は子機が目の前で鳴っていたのだが、近づけないので発信者の番号も見えなかった。

誰から、というのがはっきり分からない電話には出られない。しかも、確実に私とは無関係の人からの、父や母への電話だと予測できる。特に父関係の大学や業者からの連絡が多いことは、少しあの家にいれば分かる。普段居ない私が出て誰かと思われるのも嫌だ。今の私にとって実家の電話に出ることは他人の家の電話に出るようなものだ。 ただ受話器を取って相手の名前を訊いて、掛かってきた本人に繋げばいいのだが、そんな簡単なことが出来ない。

実家にいて私が受話器を取れたのはFAXの一回のみだった。

 

携帯でも着信すると、とても緊張する。この時間にこの人から掛かってくるという事が事前に分かっていればすんなり出られるのだが、誰からという表示が出ても予期せず掛かってきた時は画面を眺めながら硬直してしまう。それも発信者による。

まず家族からの場合は大抵出ない。連続して何度も掛かってきた時は、急を要する内容なのだと判断して出る場合もある。それ以外は留守電を聞くようにしている。

長らく関わっていない知人や友人からの連絡も、どういう要件か全く想像がつかない、あるいはこちらから音信不通になった関係の場合も怖くて出られない。メールも併せて来ていたら内容によっては自分の方から折り返し連絡は出来る。音信不通になった関係というのは、相手が嫌な人だからではない。ほぼ全て私自身が原因で、誰とも会いたくない誰とも関わりたくないという引きこもり状態になっていたからである。

毎日のようにやり取りをしていたり、近いうちに会ったりする人からは大丈夫だ。あと、自分にとって必要な連絡だと強く思えたら自分から発信できる。それも一回一回がとても緊張する。通話終了と共に胸をなで下ろす感覚。バイト先との連絡が最も緊張していたかもしれない。

以上が苦手な時期の様子。

 

着信音に恐怖を感じる時期は一切出られない。そういう時はバイブレーションが鳴るのも嫌なのでサイレントにして、何日も携帯を触らずに放置している。後で通知の表示だけは確認するのだが、留守電すら聞きたくない。

こういう状態になると、確実に引きこもり始める。引きこもる要因はまた別にあるのだが。

この時期、着信音を聞くと自分が責められるような、脅されているような、そういう気分になる。とても後ろめたい気持ち。自分の非を突きつけられているような感覚。

だから無音にする。見て見ぬフリをする。自分を守るために考えないようにする。

それはつまり…自分の中に解決出来ていない責任問題を抱えているということなのだと思う。

気持ちが前向きになって大丈夫になってくると、着信音に気付けるように家ではマナーモードを解除した状態にしておく。そうなるきっかけ、時期というのを未だにはっきりとは分かっていない。自分のことなのに。

 

5年前に一人暮らしを始めた時から家族からの電話にはほとんど出ていなかった気がする。特に実母と母方の祖母からの電話は避けていた。メールも最初は返せていたが、段々と返信するのが億劫になっていった。

そのうち家族だけでなく、同級生や先輩後輩からの連絡も避けがちになった。そうして自分で自分の周りを遠ざけて孤立するようになった。だけどまた周りと連絡取ったり関わろうという気になり、実際に元気そうに会ったりする。そしてまた孤立。それの繰り返し。最初は1人きりになる期間が1ヶ月とかだったのが、繰り返すうち段々と伸びて2ヶ月、3ヶ月になっていた。

1人の時間が長すぎると他人とどう喋って良いのか本当に分からなくなる。相手の様子を知るのに声色と言葉しか判断要素がない電話は不安になるのだ。表情や態度が見えないのが不安になるのだ。そして、私が上手く言葉が紡げないのだ。そういう自信の無さも通話することから遠ざけている。

現在持っている電話への苦手意識は、ほぼこの5年の間に作られてきたものだろう。

 

これからまた慣らしていきたいのだが、秋から冬にかけての時期がどうも具合が悪くなるらしく、また電話には出られなくなるかもしれない。